「私には夢があるのね。その夢は、一人やないといかんけん、これ以上、宇宙さんと一緒にいたら、ダメになると…」

もう、必死だった。

「なんで!なんで俺がいちゃダメなんだよ!その夢はそんなに大事なのか?俺がその夢の代わりになるから!」
「私の夢は絶対かなえたいけん、それまで宇宙さんを待たせるわけにいかんと!」
「待つよ、かなえるまで待つから、応援するから!」

思わず叫んでしまし、冷静になって、二人は見つめあい、どちらからともなく微笑んだ。

「ふふ、どうしてそんなに必死なん?」

結女が言った。

「…わからない。」

ここまでくれば、結女が好きだと言う感情に気づかないほど私もバカではない。しかし、ここまで来て感情を隠す自分に、ほとほと嫌気がさした。

「知っとうと?それって、『結女が好きだ!』って言ったんと同じっちゃよ?」

結女は眉間にシワを寄せている。もう泣く寸前になっていた。その姿を見て、私は混乱した。
もうこれ以上、結女を苦しめないほうがいいのだろうか。でもやっぱり…

心は決まった。

もう自分の保身なんかを考えるのはやめよう。そう思って、彼女に気持ちを伝えようとしたその刹那だった。

結女が口を開いた。

「もう…。今日は一大決心してきたとに。今日で宇宙さんと会うの最後にせんとって…。でも、宇宙さん優しくって…。あったかくって…。」

もう結女はボロボロ泣いていた。微笑もうと努力しても、涙がその努力を壊してしまう。

「昨日も一日泣いて、やっと決心したとに…。やけん、やけん…」

一生懸命がんばった結女も、泣き崩れながら言った。