美紀「ほらそこぉ!ダラけない!」








手伝いが始まって、美紀ちゃんは豹変した。

海側に面している二階の窓を綺麗に拭く作業を言い渡された私たちは
最初は真面目に...

空、太陽、狼は最初から怠そうにしてたけど

何とかやってたはず。




けど段々面倒くさくなくってきて、話したり寝転んだり。

そうしたら一階から叫び声が...
美紀ちゃんがお怒りのようです。








太陽「うるせーなぁ~!」



美紀「さぼんじゃないよ太陽!!」



太陽「腹へってんだよ!」



美紀「母ちゃんに文句言うんじゃない!!」



太陽「うるせーなぁー!!」








一階と二階で叫び会う二人は、親子、、

に見えるけど、
太陽のお母さんは美紀ちゃんじゃない。

太陽のお母さんは『幸子』さん。
私たちも見たことないけど、太陽のお父さんの話によれば
美紀ちゃんとは真逆の、大人しくておしとやかで清楚な人だったとか。


幸子さんは美紀ちゃんと親友だったらしい。














美紀「ほんっと、太陽って本当に幸子の子供?」








一通り窓掃除が終わって、旅館の入り口でアイスを食べながら一休み。

アイスを持ってきてくれた美紀ちゃんが、私と空の間に座って一言。

その視線は、少し向こうでホースの水で水浴びをする男三人に向けられていた。








海「そんな違うの?」



美紀「違う違う」








美紀ちゃんの言葉に少し笑ってしまう。

そんな疑われるほど違うんだね、、
じゃあ太陽って、、







美紀「久司にそっくり」



海「あー...」笑








『久司』さんは、太陽のお父さん。


確かに、太陽と太陽のお父さんは似てる。
太陽の方がのんびりしてるけどね。








美紀「でもねー...」








そう続ける美紀ちゃんは、まだ視線は太陽に向いていて

その目はすごく優しかった。









美紀「人一倍優しいとこと、正義感強いとこは、、幸子にそっくり」








我子を見るような、そんな優しい目の美紀ちゃんは

本当に太陽を息子のように世話してきた。
陸と仲よなったのも美紀ちゃんの影響なんだよね。



それに...

確かに太陽は優しい。

自分勝手に見えるかもしれないけど
素直じゃないけど、ちゃんと人を思いやれてる。


それに正義感が強いから
いつも助けてくれるんだよね、太陽は。

みつくんの時がいい例だよ。



まぁ本人は、、
自由にしてああなみたいだから分かってないけど。









海「いっつも助けられるよね、太陽には」



美紀「そうなの?」



海「ね、空」



空「そうだっけ?」








ずっと黙って三人を眺めてた空。

話に入ってこなさそうだから話を振ってみる。


そしたら答えは適当。
空だって太陽に助けられたこと、、

あれ、有ったっけ...?








美紀「まぁいいや。ほらー、掃除するよー!」






美紀ちゃんの言葉にビショビショになって戻ってくる三人。


そんな私の視線は...。









___『こいつ、俺が好きなんだよね』



___『だからダチで居てやってよ』






___『私太陽のこと好きだったの?』



___『さぁ?』





太陽はいつも助けてくれる。

でもそれは、、



『私だけ』...?










な、わけないよね。