陸「空ー」








とある日の帰り道、
部活が休みだった陸と二人で下校中。


久々に陸と二人での時間は、ゆっくりに感じる。


それは陸の雰囲気のせいか、静かな海岸沿いを歩いているからか
それは分からないけど

昔から陸と二人の時は時間がゆっくりと感じられる。


太陽ともゆっくり感じられるけど...
また違う感じの、ゆっくな時間。






陸「大学決まった?」







その言葉に、隣を歩く陸を見上げた。

大学...は、







空「島の大学にする」







ずっと迷ってて、進路でクラスがピリピリしてても
私はなにも思い付かなくて、結局島の大学に決めた。

それを陸と太陽には言ってなかった。

だって、二人も自分の事に一生懸命になって考えてだし
一緒に居るときくらいは受験から逃げたかったし話さなかった。






陸「海は?」



空「本島の専門。料理の」






海の進路が決まったとき、遂に "離れることになる" そう思った。

ずっと一緒だったし、いい機会かも
なんて思ったけど、

この日々が変わってしまうと思うと悲しく感じる。





空「陸は?」



陸「俺はー...大学、行こうかなって」






気になって陸にも聞いたけど、その答に少しびっくりした。

だって、陸には旅館があるから。

前にも思ったけど...
陸は家を次ぐ気がないのかな...?

でもそれは、陸の人生だから。







空「太陽は?」



陸「あいつは分かんねぇ。聞いても言わねぇんだもん」






陸も、海も、離れてしまう。

ならせめて太陽はって思ったけど、、
あいつは分からないのか。

言わないのは決めてないから?
それとも隠したい、のかな?






陸「まぁ俺らも...それぞれ頑張んなきゃなんない歳になったわけだ」






見上げる顔は何を考えているのか分からない。

悲しそう?笑ってる?


...分からない。

でも陸の言う通り、なのかな


でも、






空「んーやだ」



陸「こら」






その言葉に、陸が私の頭に手を置いて笑う。

面倒くさがりの私にしては、少し億劫な問題。
でも将来を考えて...

なんだもんね、






空「あーやだー」



陸「やだやだ言うな」笑