たしかに、私の企画は一応は売上二位にはなったけれど、一位との差は歴然だった。

正直、この企画に賭けていただけにダメージは大きい。

流行にあわせたハイカルチャーでハイグレードなプランを企画しただけでなく、自費でその観光地にまで行ってリサーチにリサーチを重ねて絶対の自信があったのに、売上の数字だって、私の期待とはほど遠かった。
惨敗とはこのことよ。
今度こそ向居を抜いてやる、って意気込んだのに。

ダメージは、喪失感にも近い。

…やっぱり私、あいつには勝てないのかな。


「すごいなぁ、逢坂先輩も向居先輩も。企画に入って間もないのに、もうバリバリ成果出していて。どうしたらそんなにいい結果出せるようになるんですか？？」


後輩ちゃんが、ため息交じりに訊いてきた。
「そうねぇ…」と考えるふりをする私の内心は一択だった。


そりゃあまさに努力を惜しまなかったからよ。


文字通りすべてをささげてきた。

旅行業界は人気業種。
旅行好きなら誰しもが憧れる。
でも、好きだけでは売れる商品は作れない。入って早々そのことに気づいて打ちのめされ、念願の企画営業部への昇進ルートからリタイアした者がいっぱいいた。