私は眠りにつくと、よく父親に殴られる夢を見た。
逃げても逃げても追い掛けてくる拳に何度も叩きつけられる。
汗びっしょりになって起きるたびに、シンは優しく抱きしめてくれた。
「どうしたの?」って理由は聞かない。
何か言葉をくれるわけでもなかった。
でも、その代わりにピアノを弾いてくれた。
私が眠りにつくまで、ピアノの音は鳴り続ける。
ピアノなんかと無縁の私にはシンが弾いている曲が何の曲かはわからない。
わからないけど……
落ち着くメロディーだった。
シンの甘い匂いとやさしい音色に包まれながら眠ることは、何よりも大好きな時間。


