私の叫び声を聞き付けたお母さんが部屋に駆け込んで来たのを確認すると私は気を失ってしまった。
意識が遠退きながらお母さんの私を呼ぶ声が聞こえる。懸命に、それでいて悲痛な叫び。


お母さん、私は何も変わらない日常を送りたかっただけなんだよ。何も多くは望まない。
お母さんと沢山笑いあっていたかった、ただそれだけ。









どれぐらいの時間が経ったんだろう。ボヤける視界で捉えた天井は白く自分の部屋でない事だけは分かった。

「かずはっ!一葉!目が覚めたの、先生を呼ぶわね!」

お母さんの声がやけに鮮明に聞こえる。まだ、寝惚けた脳内と霞む視界で何処なのかは分からない。けれど、このツンと鼻を刺激する薬の匂いとお母さんの言っていた先生、でここは病院なんだって分かった。