「もう、社会人になるのか……」
「お前は、まだ学生じゃん」

高校三年の秋。進路が決まり、それぞれの道に進むために勉強一色の毎日が続く。

それなのに、こうして放課後残ってまでやりたくもない勉強を続ける理由はきっと、分かってる。

「夕日、綺麗だね……」

夕焼けを見ながら呟く彼女があまりにもキレイで見とれていれば、「帰ろう」と二人だけの時間に終わりを告げる。

ふわり。
窓から入った風がカーテンを揺らし、夕焼けの中に彼女を拐ってしまいそうな感覚に落ちる。その前に──