大切なものを無くした世界は色を失くしたように悲しいものだった。

「誰?」

冷たい彼の瞳に写る私は、今どんな表情で彼とあっているのだろう。きっと情けない顔で以前の貴方なら「ブサイク」なんて文句を言うのだろう。

今頃そんな言葉が愛おしくなる。

「初めまして」

彼と出会った時のような笑顔で。声で。表情で。またスタートに戻ればいいはずなのに、貴方を知ってしまった私は涙を零す。

神様なんて信じていないけど、もし居るのなら。彼ともう一度だけ。