「お前が生まれた時は妻はお前と一緒に、今のお前の部屋にこもった。きっと私への気遣いだったんだろう・・・。あの部屋にカギをつけたのはお前の母親だ。」



部屋の冷たい大きな扉を思い浮かべる・・・



「私への気遣いだけじゃない。きっとあいつはお前を守りたかったんだ。健介のように誰かに狙われないように。自分のように誰かに襲われないように・・・。不器用な妻の、お前への愛情があの部屋を作ったんだ。」



知らなかった・・・



茜は次々に涙を流した。