「そこ~イチャイチャしてんのか?」



私達は立ち止まり、向き合っていると春樹君の声が聞こえてきた。



岬君は春樹君の姿を見つけると、2人のもとへと駆け寄っていく。



さっちゃんは目を真っ赤にして春樹君に手を握られている。



好きな人が好きだって言ってくれて、隣にいてくれることは当たり前のことじゃない。



だから、大切にして欲しい。



春樹君もさっちゃんも今の気持ちを大切にして欲しい。



オレンジ色の夕日が青い海に反射して、私達は綺麗な光に包まれていた。



そんな中で手を繋いでいる二人は少しは恥ずかしそうで……



でも、穏やかで優しい顔をしている。



春樹君。



さっちゃん。



お互いを大切にして。



私は何故だか涙が零れた。



一粒だけ落ちた涙は白い砂浜を茶色く染める。



私は岬君が最後に差し出してくれた優しさを気付かずに過ごしてしまったんだ。



こんな私に話しかけてくれたのは岬君だったのに……



いつも遠くから見守ってくれていたのは岬君だったのに……