「紗枝ちゃーん!!」
膝を抱え、しゃがみ込んでいた私は顔を上げた。
そこには自転車に乗っているさっちゃんの姿が……
「さっちゃん。どうしたの?」
「紗枝ちゃんの家に電話したけどいなくて探してた」
「えっ?」
私の家にさっちゃんが電話?
誰が出たんだろう……
「休みに学校来るなんて真面目ちゃんなわけ?」
クスクスと笑うさっちゃんを見ると、電話で変な事を言われた訳ではなさそうだ。
「暇だったから」
「明日も暇?」
「暇だよ」
私は毎日暇だし、行くところもない。
そんな事は決して口には出せないけど。
「それなら、海行こう」
「海?」
「そうそう。毎年、春樹達と一緒に行ってるの」
でも……
今年は春樹君が……
「紗枝ちゃんって考えてる事すぐ顔に出るよね。春樹とは最近気まずかったけど、さっきウチに来て「明日海行くぞ」って!!普通だったから大丈夫」
「そっか」
「海、嫌い?」
私は左右に首を振る。
「それなら決定!!早速水着買いに行こう」
私はさっちゃんに押し切られ、ショッピングモールへと向かった。
夏休み中はいつもよりお小遣いをもらっている。
3食一人で食べるために……
でも、水着なんて高そうで……
それに私は、競泳用の水着しか着たことがない。
さっちゃんは楽しそうに水着を選んでいるけど、私は値段ばかりを気にしてしまう。
「紗枝ちゃんこれは?」
さっちゃんが選んでくれる水着はどれも露出が多すぎる。
それでも、さっちゃんが楽しそうにしているから、私も楽しかった。
ショッピングモールからの帰り道、さっちゃんが私の手を握ってきた。
「ウチ、高校の思い出もっと作りたい」
「うん」
「だから、嬉しくて」
「楽しもうね」
「うん」
さっちゃんの手は少し冷たくて、汗をかいていた私の手の平をゆっくりと冷やしてくれる。


