青空の下で

学園祭が終わると、期末試験があり夏休みとなった。



「ちょっといいかしら?」



明日から夏休みなんだ……と憂鬱になりながら、眠りに就こうとしたとき部屋の扉をノックされた。



「はい」



私は起き上がり、ゆっくりとドアを開ける。



「夏休みはどうするつもり?」



話をするのも嫌そうな顔で奥さんが話を切り出す。



「今回は迷惑をかけないように、学校がある時間帯は家にいないつもりです」



「そう。良かった。私達来週から旅行に出かけるから、その間は出かけなくてもいいから」



「わかりました」



「それじゃあ、おやすみなさい」



「はい」



長期休暇前に繰り返される、同じ内容の会話。



この会話をするたびに何かを妬んだり、憎んだりする感情が湧き上がる。



後夜祭を終えた私とさっちゃんは前よりも仲良くなった気がする。



それは……春樹君や岬君が話しかけてくることがなくなったから、2人でいる時間が増えたんだ。



さっちゃんが岬君に告白して振られた事を、春樹君に報告すると、春樹君は「じゃあ俺も幸子から卒業だな」と言って笑ったらしい。



さっちゃんは切なそうな顔で話してくれた。



みんな誰かを好きでいるだけなのに、どうして苦しい想いが付きまとってくるんだろう?



恋をするってこんなに苦しい事なの?



私は岬君に対する想いを噛み締めながら瞳を閉じた。