青空の下で

「ウチ、岬に言ったよ。でも、振られた」



「えっ?」



私の顔を見てさっちゃんはニッコリと微笑む。



「今、ホッとしたでしょ?友達が振られたのに喜ぶなんて酷い」



「えっ?さっちゃん?」



「冗談だよ」



私はさっちゃんの言っていたことが図星で言葉を失ってしまう。



「本当はね。準備中に春樹に後夜祭誘われたの」



「春樹君?」



「うん。ウチのことずっと好きだったんだって。だから、ウチが岬の事を好きなことも気付いてた」



あの春樹君がさっちゃんのこと……



確かにさっちゃんにだけはいつも構っていたけど。



「春樹に言われたんだ。俺は気持ち伝えたんだぞ。お前もきちんとしろって。それじゃなきゃ俺もいつまで立っても前に進めないって」



「そっか」



「なんか、いつもみたくふざけた春樹じゃなくて驚いちゃった。だから、岬に当たって砕けた。アハハ」



「さっちゃん。辛くないの?」



私は話を聞きながらまた涙がこみ上げてきた。



涙って本当に枯れるのだろうか?



いくら泣いても私の涙は溢れてくる。



「辛いと思っていたけど、そうでもないみたい。自分の気持ちが言えてスッキリした」



岬君の低い声も、優しい仕草も、眩しい笑顔も、キラキラした背中も、もう私の手には届かない。



私が触れることは二度とない。



もう、外は完全に日が落ちて、後夜祭が始まる合図の花火が打ち上げられていた。



真っ黒な空に奇麗に輝く無数の色。



一瞬にして消えてしまうその光は、まるで私のようだった。