「岬君もこのエプロン着けてるの?」
女の子は甘えるように岬君に寄り添っている。
「そうだけど」
「えぇ~似合わない」
「うるせーよ」
細くてスタイルいいの女の子……
私は隣で生地を焼くさっちゃんを見る振りをして、顔を上げた。
この人見たことある……
廊下でよく岬君と話をしている女の子。
少し茶色い髪に、大きな瞳、化粧も奇麗にしていて、私と同じ年なんて思えないほど、大人びている。
私が子供っぽいだけなのかもしれないけど。
岬君と楽しそうに話している声が耳に残る。
私は岬君との距離が近すぎて涙が出そうだ。
「原田。トッピングサービスしてやって」
「えっ?あっ……うん」
「サンキュ」
もう、話をすることなんてできないと思っていた人が、今私の名前を呼んだ。
それだけで、涙がこぼれそうだよ。
岬君が私に話しかけて、私はそれに答えている。
太陽の匂いがする岬君は少し背が伸びたような気がした。
クレープが出来上がると、2人は仲良く教室を後にした。
さっちゃんはさっきから一言も話さない。
「さっちゃん?」
ジッと前を見つめているさっちゃん。
「私、中学のときから岬のこと好きなんだ」
「えっ?」
私の頭の中は一気に混乱していく。
「紗枝ちゃんは大事な友達だったから、気持ち隠してたけど、もう隠すのやめた」
「さっちゃん?」
「今一緒にいた子は中学の頃から岬のことが好きで、岬に近づきたくてサッカー部のマネージャーやってるの。他の人に取られたくないから……私、後夜祭岬の事誘うね」
何かで殴られたように頭が痛い。
今の私にさっちゃんを止める権利なんてない。
担当が終わると、さっちゃんは行って来ると岬君を探しに行ってしまった。


