恋ってこんなに苦しいの?
私の初めての恋は、君を見ているだけで涙が出てくるくらい苦しいものでした。
君の側にいるだけで好きが溢れてしまうくらい、大好きでした。
私は高校1年生の夏、大切な人を見つけました。
もう、側にいることは出来ないけれど……私の初恋です。
「後夜祭は誰と行くか決めた?」
「昨日の今日じゃ決まらないよ」
「そうだよね」
暖簾作りをしてると、さっちゃんは毎回後夜祭のことを聞いてくる。
この学校には後夜祭を好きな人と出ると、結ばれるというジンクスがあるらしい。
それなのに、私たちは誘う相手すら決まらない。
「さっちゃんは、誰かいるなら私のこと気にしないで誘ってね」
「紗枝ちゃんこそ、誘う人決まってるんじゃないの?」
「決まってないよ」
毎日毎日繰り返される同じ会話に、私たちは顔を見合わせて笑い転げた。
「幸子~サボるなよ!!」
見上げると、私たちの前に春樹君が立っていた。
「あんたこそ、人のクラスで何やってんの?」
「紗枝ちゃん、幸子借りてもいい?」
「どうぞ~」
「私は物じゃないんだけど?!」
さっちゃんの口調は相変わらず。
5分もしないうちに戻ってきたさっちゃんの目には涙の跡が残っていた。
「どうしたの?」って聞いても、さっちゃんは首を横に振るだけ。
だから、私はさっちゃんが話してくれるまで待つことにした。
私はいつでも待ってるから。
今日この日のこと打ち明けてくれる日を……


