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「それに、お迎えが来たみたいだしね。」

二人の悪魔がいやらしい笑みを浮かべて立っていた。一人は春香を抑え、もう一人は腕を組んで堂々と立っている。
生々しく声を上げる悪魔達に、私は殺意を覚えた。
「春香を…春香を離せ。」
春香は私がいることに驚いている。それもそうだ、私は春香の散歩先が気になって後をつけていたから。ストーカー?違うよ。好奇心って言って!
「まさかこんなに早く気づかれるなんてねぇ」
私をバカにするかのように悪魔は笑った。
「まぁ神子だから当然だろ。」
春香を抑えている方は落ち着いた口調で話している。
「あのさあ、用が無いなら春香を返してくれない?」
「えー、嫌だよぉ。この子は人質。返したら僕ら殺されちゃうもん!」
そういってニッコリ微笑んだが、顔はさっぱり笑っていない。戦う気満々である。
「神子の関係者ほど利用価値のある物はない。」
「あれえ?さっきは人質作戦に反対してたのにぃ?」
「…うるさい。気が変わった。」
もう一方もどうやら戦う気満々なようだ。
「…ていうか、私と春香が知り合いだってどこで知ったのさ?」
「えっとねぇ、戦ってるところを見てたんだよぉ。空から。」
「…!」
確かに私と春香が出会った場所は見通しがよかった。見ていたことに気づけなかった自分が情けなくなってしまう。
「何ボーッとしてるのかなぁ?」
「…返して欲しいのなら、俺らに勝て。」
「嫌なら良いんだよぉ。でもこの子が…、ねぇ。」
卑怯な奴らだ。戦いをすることになれば、奴らはおそらく春香を盾がわりにするだろう。だが、逆に戦わないと、春香の身が危ない。
(……どうしよう。)
「まだぁ〜、僕ら的には無駄な戦いは避けたいんだけどぉ。ま、いいや、三秒あげるよ。その間に決めてね?…………さぁん。」
どうしよう。今までこんなに迷ったことはなかったのに…!
「…にぃ〜。」
でもどっちを取っても春香は怪我をする。
「…いーち!」
私はとっさにひとつの案を思いついた。
(これなら…いけるかも。)
「決まったぁー?それじゃあ答えをどぉぞぉ〜」
「…私は戦う!春香のために!」