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ご飯と入浴を済ませたあと、私は春香の部屋へ行った。
部屋の前でコンコンとノックをする。ガチャ、という音がして、中から春香が出てきた。
「入って!」
私は部屋に足を踏み入れた。
中は思っていたより綺麗で、小さなテーブルや、ソファ、勉強机、それに小さな本棚もあった。
じゅうたんの上を歩き、私はテーブルのそばに正座した。
「そんなに硬くならなくて良いよ〜!」
彼女はそう言うが、私は姿勢を崩す気にはなれなかった。
「ごめんなさい!」
私は、頭を下げた。春香は驚き、慌てているが私はためらわなかった。
「え、あの、ちょっと…」
「さっきは、変人とか言っちゃって本当にごめんなさい!」
「良いよ、大丈夫だから、ね?」
「…ありがと。春香。」
私が頭をあげると、彼女は嬉しそうに私の頭を撫でた。
それからしばらくして、春香は私に尋ねた。
「霞って、ホントに魔法使いなの?」
「うん。日常生活はお金が無かったから、魔法とかで簡易食とか、毛布とか出してたよ。」
「うわぁ…便利だねぇ〜」
「そうでもないよ。ご飯まっずいし、毛布は薄いしで、生活にも苦労した。」
「い、意外と大変なんだね…。」
「うん。今の私の魔力じゃ美味しいご飯は出せない。」
「ふーん…」
春香は難しい顔をして、私の話を聞いてくれた。
私は主に戦うための魔法を習得してきたので、その他の魔法はほとんど出来ない。
しばらくの間沈黙があった。微妙な空気のなか、春香がくちを開いた。
「あ、そーだ。」
何かを思い立ったようで、別室へと入って行った。