「…威音、悪かった。」

久しぶりに見る父…半年ぶりかな。

頭を下げられても、私が彼らにとって必要ないのは変わらない。

『要…三人とも帰ってもらって。もう会うこともないでしょうけど…お元気で。私のことはもう気にしないでください。私も今日からは気にしません。マンション、ありがとうございました。』

驚いて呆然とする両親に向かって、頭を下げる。

「明日、また来るよ。」

神威の低い声がする。

『結構です。藤守さんは忙しいでしょう。』

「大丈夫だ。来るよ。」

『…会いたくありません。』

拒絶の言葉に絶句している神威。

もう、会いたくないのよ。

何を言われても、私は神威を受け入れられない。

私がこんなことしちゃったから、責任感じて来られてもお互いツラいだけだ。

三人が帰ったあと、要に今の状況を聞く。

『私、どうしてここにいるの?』

「忘れ物したサーファーがたまたま見つけて助けてくれたのよ。その人、消防士ですぐに助け出して、適切な処置をしてくれたから助かったの。」

『…そう。』

「威音、一緒に住むのは決定だからね。これから、威音の家族は私だけよ。あっ、福岡のおじいちゃんとおばあちゃんもね。」

明るくそう言ってくれる要を、心から大事にしたいと思った。

そうね、要は私の家族よ。

要を悲しませたくない。

今はその気持ちだけで、生きていけそうだ。