「えっ…?」

“だから、親に捨てられた威音にあなたは何かしましたか?…威音が海に飛び込みました…。”

飛び込んだ…?

威音が…。

血の気が引いていくのがわかる。

オレは何を言った…?

風呂から上がると威音はもういなかった。

帰ったとしか思わなかったから、電話もしなかった。

ここ一年、健気な威音にオレはどんな扱いをしてきた?

オレから離れていかないという、絶対的な自信を持ち、散々蔑ろにして傷つけていた。

親も威音を小さい頃から、放置してたことも聞いていた。

だから付き合い始めの頃に、オレが傍にいると約束したんだ。

そんなことも忘れて、追いつめて追いつめて…限界を越えさせてしまった。

“藤守さん?!”

電話の声に我に返ったオレ。

急いで病院を聞いて、家を飛び出した。

ひたすら無事なことだけを祈りながら。