益々ざわつきだした周囲。

落ち着きのない山崎さん。

険しい顔の仮面夫婦。

実は私も薄々気がついていた。

二人のそれぞれの相手を。

それでも、バカみたいに父と母が戻ってきてくれる事を願ってたの。

『おじいちゃん、おばあちゃん、もう行こう?私、もうこの人達に何も望まないことにしたの。いつか、戻ってきてくれるなんて幻想…夢のまた夢だったわ。最後に家を追い出されて、半年ぶりに会ってわかったの。これからもお仕事と不倫、頑張ってください。それから…私の結婚相手は私が決めるから、裏であれこれしないで。自分のお金儲けだけに半年以上も会ってない娘を使わないで。ああ、それで私に生活費を払いたくないっていうなら、それでもいいわ。私、自分でも生活できるから。なんせ、あなたの言う自立?を小学生の時からしてるので。』

黙ったままの二人。

「大株主はワシと威音だもんな。」

「はっ?どういうことだっ?!」

父は驚きを隠せてない。

実は父の会社の大株主なんだよね。

おじいちゃんと私。

当然、おじいちゃんのことは父も知ってるだろうけど、私はある人に協力してもらって、かなりの株を所有している。

おじいちゃんと私のを合わせると、乗っ取りもできるくらい。

まぁ、しないけど。

私にはいらないからね。

「さぁ、二人とももうここに用はないやろ。ご飯を食べに行こうや。ワシは寿司が食べたいんよ。」