週三は通ってる。

「そっか。オレも本好きだから、よく行くんだよね。店長が高校時代の先輩ってのもあって、開店当初から通ってる。会ったことあるのかもね?」

『本読み出すと集中しちゃうんで、もしかしたら会ってるかもですね?こんど会ったら声かけてもいいですか?』

「うん、偶然を楽しみにしてるよ。」

『はい!』

ほんわかしながらも、本来の夢を再認識できて、東さんに逢えて良かったと心から思えた。

その時、私のケータイが鳴り出した。

私の番号は、要と福岡のおじいちゃん、おばあちゃんと目の前にいる東さんしか知らない。

と、いうことは要かな?

画面を見てみると、おじいちゃんのケータイだ。

「電話でていいよ。」

東さんが気遣ってくれるから。

『すみません。』と断って、カフェの外に出る。

『もしもし?』

“威音、身体大丈夫か?”

…誰から聞いたんだろう?

“全部知っとぉよ。威音が番号が変わったっち言うけ、なんかおかしいっち思っとったんよ。やけ、バカ息子に電話したんたい。”

『おじいちゃん…。』

“今、もうばぁちゃんと空港着いたけ、美味しいもん食べに行こ。六本木ヒルズで待っちょくけ、来なさい。”

六本木ヒルズ…。

なかなか行動力のある二人だわ。

『わかった。あとでね。』

せめて、空港着く前に教えて欲しかったけど。

でも、私は一人じゃないんだと改めて思えたから、一人で笑ってしまった。