風の便りから


「…はぁ…、…あ、あんまり体揺らさない方が良いと思う…っ」



男の子の体を容赦なく何度も、上下前後に揺らす子供達に咄嗟に口に出したものの、揺らさないほうが良いのか揺らしたほうが良いのかは、医療経験がない私には実際全く分からない。


私だったら揺らされたくないと、憶測でものを言ってしまった。



…しかし、息切れして声を発するのが苦しい。


気を抜くとすぐにでも体の力が一気に抜け膝をついてしまいそうで、軽く自分で頰を叩いて気合いを入れる。




「3人とも、取り敢えず運ぶから手伝って!」



まさか黒髪の男の子だとは思わず、予想外の人間でびっくりはしたけど、これ以上この熱いコンクリートの上に寝かせておくのは絶対に良くない。




保健の授業で習ったのは確かこういう感じだったと、ぎこちない手付きで首筋と手首に指先をぐっと押し当て、ちゃんと脈があることに安堵の息を漏らすが男の子の体が熱もっていて凄く熱い。




子供達に手伝ってもらい男の子を背中に背負うと、やっぱり背中に感じる男の子の体温は熱くて不安がつのる。




「えっと、…まずお店に先に行って。…それから、叔母ちゃんに氷枕と冷たい水と、タオル用意してって頼んできて!」


「「分かった!」」




考えながらとりあえず冷たいものを口にしたが、多分あんな感じのやつで体は冷やせるはず。



忘れないようにと頼まれた事を口にしながら、3人は来た道を全速力で走っていく。




あれなら、私が辿り着く頃には準備は完璧だろう。…ちゃんと伝わっていればの話だけれど。




とりあえず私はあの子達を信じて、頑張ってこの男の子をお店まで運ぶだけだ。