近寄って来てくれたということは、恐らく手伝ってくれるんだろう。
「…今日はもう出番ないと思ってました」
小さな声でそう言う澄野くんの表情はいつも通り涼しげで、見た感じでは怒ってる様子は見受けられない。
もしかしたら、澄野くんもラムネ作りが楽しみで出番が来るのを今か今かと待ち構えていたのかもしれない。
「ごめんね。ここから少し力いるから手伝ってほしいの」
「はい、手伝わせて下さい。…これ混ぜれば良いんですよね?」
いつも通り会話出来たことに、無意識に硬直していた筋肉が緩みホッと息を吐きながら有馬くんからの問いかけに頷く。
2人並んでボウルの中の材料をスプーンで混ぜていると、甘いような酸っぱいような香りに混じって澄野くんの方から石鹸のような柔らかな香りがふんわりと鼻腔をくすぐる。
澄野くんの家の香りか柔軟剤なのかは分からないけど、嗅いでいてとても落ち着く香りで心地良い。
