詳しい説明を求めようと口を開きかけるが、子供たちは『はよ来て!』と大きな声を店内に残して、再び駆け足で立ち去って行く。
「お、…おばちゃん…!ちょっと行って来る!」
すぐにお店を出て行った三人を追いかけようと、まだ驚いてる様子の叔母ちゃんへと声をかけカウンターを出て行き、開いたままの扉から急ぎ足で外へ飛び出る。
「こはる、はよ!こっち!」
さすが小学生。
走る速さが早くて付いて行くのがやっとで、もう既に息切れしてしまっていてしんどい。
海沿いの道を走り抜けると曲がり角付近で横たわる人間の姿が見え、本当に死んでいたらどうしようと頭の中がパニックになりかけてはいるが、人命に関わる事だから行かないわけにはいかない。
痛いほどの日差しが肌に降り注いで、汗がポタポタと拭う暇もなく地面へ落ちて行く。
先に辿り着いている子供達が心配そうに横たわる人間の身体を揺さぶっている。
一歩一歩、近付くにつれて視界がクリアになっていく。
あぁ、あれは何度も見たことがある。
……何度も見た、黒髪だ。
