もしそうだとしたら、子供達は何故澄野くんの家を知っているんだろう…?
まさか、近所の人に聞いて回って澄野くんの家を探し当てて迎えに行ったんじゃないだろうか。
子供達が澄野くんの家を知った経緯について推理を進めていると、視界の端に私の腕よりも一回りくらい大きな腕が道具の山に伸びて来るのが見えて歩みを止める。
「小春さん、それ持つんで貸して下さい。」
「え、良いよ?…すぐそこだし悪いよ」
玄関出て表に回ればお店はすぐだから、このくらいの距離ならこの重い道具もちゃんと運べる。それに、たったそれだけの距離のために澄野くんを使うのは悪い気がする。
断られると思っていなかったのか、澄野くんは手をこちらに伸ばしたまま少し眉を寄せて目線を彷徨わせていて何かを考えているみたいだ。
「…俺、重いものとか運ぶの好きなんです」
想像していなかった全く予想外の言葉に、少し理解するのに時間がかかってしまう。
運ぶのが好きだなんて言う人は初めてで、思わず吹き出してしまいその振動で道具と道具がぶつかった小さな音が響く。
「ははっ、…ちょっと待って、笑ってごめんね。…ありがとう助かるよ」
澄野くんは暑さからか、恥ずかしさからかは分からないけど顔を真っ赤にして、私が笑っている隙に道具を全部奪ってお店の方へ早足で行ってしまった。
この場合だと、恐らく恥ずかしさからあんなに顔を真っ赤にしていたんだろう。
