風の便りから



ポケットの中から少し歪んでしまった封筒を取り出す。




真っ白のシンプルな封筒には、綺麗な字でここの住所と私の名前が綴られていて、桜柄の可愛い82円切手が丁寧に貼られてある。




送り主の名前を見なくとも、誰が送ってきたものか想像する事は簡単だ。



いつも手紙は読むが、いざ返事を書こうとすると色々込み上げてくるものがあってペンを置いてしまう。


だけど、心配しているだろうからそろそろちゃんと返事を書かなきゃいけない。




今日届いた手紙は家に帰ってから読もうと再びポケットの中へと押し込んで、まとめた塵や埃をちりとりに掃き入れゴミ箱へとひっくり返す。



ひっくり返した時に舞ったホコリに咳き込みそうになるのを耐え、ほうきとちりとりを元あった場所へと戻し店内に異常がない事を確認する。クーラーを消し鍵と叔母ちゃん宛の手紙を手にして、足早にお店を出て行く。



「あっつい……」



店内と外の気温差に思わず声が漏れるけど、日中の殺人級の陽射しに比べると全然楽なのを知ってる。



それに、ここは海風が吹いているから涼しさも感じる。ビルだらけの都会の気温に比べると、ここはまだ全然恵まれている方だろう。