よく考えると澄野くんは高三だから、進路について考えたり自分自身の勉強もあるんじゃないのだろうか。
あまりにも気付くのが遅い上に自分の身勝手さに呆れを感じながらも、頭の中を整理していく。
もしかすると小学生の宿題を見てる暇なんてないのかもしれないのに、私が無理矢理押し付けたから優しい澄野くんは断れずに毎日来てくれているのではないだろうか。
「いえ、怒ってるなんて全然です。…小学生に勉強を教えるのは楽しいので、最初はびっくりしましたけど…今は自分の意思でここに来てます」
「そっか…」
良かった。
落ち着いた声でそう言う澄野くんの多分本心だろう言葉に、安堵の息を漏らして嫌々来ているんじゃないって分かっただけで良かった。
「ただ、最初は戸惑ったので…今度は小春さんを少し困らせてやろう。…って思ったんです」
眉を下げ口角を上げ困ったように笑う有馬くんに、視線を奪われる。
あまりにも可愛い言い訳にもうお手上げ状態で、思わず深い溜め息が漏れる。
「じゃあ、これでおあいこだね…」
