「あ、…澄野お兄さんが教えてくれるよ」

「えっ…」



まだブツブツと何かを呟いていた澄野くんは、まさか自分に来るとは思っていなかったのか目を見開いている。



澄野くんは見る感じ頭が良さそうな感じがするから、多分大丈夫なはずだと適当な事を思いつつ有馬くんの方へ体を傾ける。




「……教えてあげてよ。昨日の事はこれでチャラにするし、チビ達も昨日澄野くんのお世話してくれたんだから」



内緒話をする様に声を潜め半ば脅迫の様な形になってしまったが、澄野くんの耳元でそう言えば渋々頷いてくれた。


これで、一石二鳥。
なんて自分勝手な事を考えている自分は、相当性格が悪いのだろう。




そして、早速その日からお店で開かれる澄野くん教室が始まった。



やっぱり澄野くんは頭が良いみたいで教え方も上手らしく、勉強嫌いなはずの男の子たちも勉強している間は真面目に取り組んでいた。



この調子だと、夏休み終了前には必ず終わるだろう。