澄野くんが倒れていた日は、高校の終業式だったらしく次の日澄野くんは私服でお店に現れた。
防波堤に来ている時も制服姿しか見た事がなかったから、どことなく違和感を覚えながらも迎え入れると丁寧に菓子折りまで持って前日の事をお詫びに来てくれたらしい。
お婆ちゃんから、人様に迷惑をかけるなとお叱りを受けたと少し落ち込んでいる様子だった。
「防波堤は暑いだろうから、夏の間はお店から海を見てなよ」
そう言ってやれば、『でも』とか『それは…』とかイマイチはっきりしない澄野くんに少し苛々していると、タイミング良いのか悪いのか三人組が現れてくれた。
「小春!夏休みの宿題ば教えて!」
「えっ…」
残念ながら、私は小学生の勉強であっても上手く教えられる気がしない。
