「それでも嫌なら、今日はうちに泊まっていってもらうよ。…また倒れないか心配だし」
車の扉を開ける前に澄野くんを振り返り、そう続けると澄野くんは特に抵抗することなく、大人しく車へと乗ってくれた。
自分も運転席へ乗り込みエンジンをかければ、日中の日差しと気温のせいで温まっていた車内をクーラーが急速に冷やしていってくれる。
「方向はこっちだよね?」
今日澄野くんが倒れていた方角を指で示せば申し訳なさそうに眉を下げて、こくりと頷く。
運転はよくするから慣れてるけど、澄野くんは病人だからいつもより安全運転を心掛けないといけないから身が引き締まる。
「お願いします…」
「任せて。これでも運転は上手いから」
得意げに胸を張って言ってやれば、澄野くんは小さく笑ってくれた。
