ペットボトルの半分ほどまで減ったミネラルウォーターを眺めつつ、無理矢理にでも叩き起こして水分を取らせるべきだったのかもしれないなんて思っていると、再び澄野くんと視線がぶつかる。
「あの、俺は澄野大輝っていいます。」
「うん。名札に書いてあったから勝手に見ちゃったよ」
名札をしている事を忘れているのか律儀に自己紹介をしてくれる澄野くんに、思わず笑みが零れる。
どうやら読み方は間違っていなかったみたいで、『 すみの だいき 』君で間違いないらしい。
「あんね、ユキはユキっていうけんユキって呼んで」
自分も自己紹介をしたかったのか、ユキが前のめりになって澄野くんへ自分の名前を教えている。
これだけユキユキ言われると、きっともう覚えてしまったに違いない。
澄野くんは少し眼を丸くしたもののすぐに面白そうに笑って、まだ少し掠れた声で 『よろしく、ユキちゃん 』と言って右手を差し出す。
その手をユキが小さな両手で包み込むようにがっしりと掴み、言葉を発せないのか真っ赤な顔のまま何度も上下に深く頷いている。
