風の便りから


すると遠くから見守っていた叔母ちゃんが即座に近寄って来て、澄野くんの頭をポンポンと優しい手付きで撫でる。



「まだ起きたらいかんよ、よう寝ときんさい」


もう一度起き上がろうとした澄野くんにクギを刺すようにして、叔母ちゃんがそう言うと澄野くんは諦めたのか大人しくなった。


どうやら、澄野大輝くんは聞き分けのいい子みたいだ。



「すみません、お世話になって…」

「謝らんでよか。この島の子供はみんな私の子供と思っとるけんね…気にしなさんな」


叔母ちゃんはそう言うと笑いながら、そっと澄野くんの頭から手を離しお店のカウンターの方へと行ってしまった。




相変わらず叔母ちゃんの言う事はかっこよくて優しい。




なれるなら、あんな大人になりたい。
一言でみんなを安心させてあげられるような人に。




「叔母ちゃんも、ああ言ってるし気にしなくて良いよ。今は休んでて」


「……はい」