風の便りから



顔を歪めている男の子を見ていると、男の子が涼しい落ち着いた表情をしているなんて思った、数十分前の自分が今更ながら恥ずかしく思えてくる。


本当はあの時、顔を歪めていたのでは…?フラフラしていなかったか?

…考えてみたらそうだった気がしてきてしまう。


自分を責めるような言葉が浮かんでくるが、今後悔したところで状況は変わらない、今できる事をやれと強く自分に言い聞かせる。



真っ赤に染まった顔を歪めている、男の子の額に冷たい水で濡らしたタオルを乗せると、男の子の体が微かに揺れる。…冷たすぎたのだろうか?


ユキも私の隣から顔を覗かせ、二人で並んで男の子をじっと見つめる。



「かっこよかね、こん男の人…」

「…そうだね」



こんな時に不謹慎かもしれないけど、ユキの感心したような声に自分もつられるように頷く。



いつも遠くから見ていて思ってはいたけど、やっぱりこの男の子は一言で言うと、 "かっこいい" という部類の人間なのだろう。




誰もが振り返るような絶世の美男という感じではないんだけど、なぜか視線を向けてしまうような魅力があるように見える。