「母さん…。うっ…。…ううぅっ…。」
自分がおかしいことに、普通では無いことを自覚したのは、中一の時。
まだ親の前で堂々と泣けたりするのかと、自分自身に驚きつつ、実の母親の前で堂々と泣いた夏休みの夕暮れ。
近くの公園から玄関先まで我慢していた涙が母を見た途端、一気にあふれてしまった。
母はそんな涼空を見て駆け寄りとっさに抱きしめる。
もうとっくに親の前では弱みを見せない子だと思っていたのだろう。
母もそんな涼空を見て泣き出してしまったのだ。
「どうしたのっ。……な…んかっ、あった?」
一生懸命優しく呼びかけてくれる母にますます涙が止まらない。
「ごめんっ‥さい‥‥!…はぁ……。ううぅぅっ…。ごめんなさい……!!」
母が、泣き止むまで背中をずっとさすってくれたことを今でも覚えている。

