まただ。
グレンのはずなのに、グレンじゃない。
「そんな訳ない、グレンが助けてくれたんだろ?」
「...だから、違うって。グレンじゃない。」
グレンじゃない?
自分の名前のはずなのに、まるで他人行儀のような。
それに、グレンが助けてくれた以外他の奴は見当たらない。
「...とりあえず、帰るぞ。ここにいたら、また捕まる。」
グレンに手首を掴まれ、かなりのスピードで自宅まで走りに走った。
でも結局、僕が拉致されそうになっていたのは、あの古坂町の生存税で間違いないみたいだ。
こんなやり方、おかしすぎる。
突然袋をかぶせられて、挙句の果てに縄で首を絞められてどこかに連れて行こうとするなんて。
「ねぇ、グレンっ」
「だから、俺はグレンじゃねぇんだって!!!」
突然大きな声で怒鳴られてかなり驚き、走っていた足がピタリと止まった。
「俺は、グレンなんかじゃない。」
「...そんなわけないじゃん。どっからどこみてもグレンだよ..?」
「...俺は、、、。」