「 …で、ここが食堂。見ての通り食券買うて好きなもん食べるって感じやな。

持参の弁当とか持ってきとる子は屋上やったり中庭やったり…まあ、色んなところで食べてるわ 」

お昼休み。

梢枝ちゃんと洸くんに校内を案内してもらいつつ一緒にお昼を食べることになった。

いつも二人は屋上で食べてるだとか。

今日はそこに私もお邪魔して三人で食べるみたいだけど、突然来た私が入っていいのかな…?

「 一通り案内も終わったし屋上行こや。
はよ食べやな時間なくなってまうで〜! 」

「 あ、う、うん…ありがとう。二人とも 」

そう言って笑えば二人もちゃんと笑い返してくれる。

連れられて屋上の重そうな鉄扉を開ければ耳をつんざく様なギギッという音と共に心地よい風が私達を通り抜ける。


あんまり人は、来ないんだ。

お昼休みだというのに屋上へ来てるのはどうやら私達三人だけみたいだ。

「 まあ、あんまりココ使う奴居ないかも 」

「 ある意味あたしらの場所やな。
今日からはユイも混ざった事やし華やかになりそうやん 」

私の考えでも解ってるのか梢枝ちゃんは笑顔で微笑んでくれた。

… そっか、私も今日からここに来ていいんだ。

あれ?でも…

「 二人って付き合ってるんじ—— 」

「「 それは無い 」」

付き合ってるんじゃ。

そう言い終わる前に見事に二人の声が重なる。

息が合ってるというか、こんな風に仲が良いから付き合ってるのかと…。

「 そ、う…なんだ。ごめんね? 」

「 謝る必要ねーって。
大体、こいつみたいな女を彼女にしようなんて思わねえっての! 」

「 それはこっちのセリフや!
誰がアンタみたいなヘタレ彼氏にするか! 」

また、始まった二人の喧嘩。

この校内を案内してもらってる時も何度か言い合いしてたっけ。

喧嘩するほど仲が良いって言うけど、

あれはわりと当たってるのかもしれない。

「 … くす 」

この人達と居るとなんだか笑顔が耐えなくなりそう、楽しい。