「 あ … えっと、うん。ありがとう水——じゃなくて、洸…くん 」

男の子を名前で呼ぶの、慣れないなあ。

なんて心の中で呟きながらも私は小さく微笑んで答える。

それからすぐに授業が始まった。

までは良かったんだけど当たり前な話、私は全くついていけずに隣にいる洸くんに教えてもらいながら授業に参加した。

… 病院で少しは勉強したんだけどな。

思ったより進む速度が早くて自主勉した所よりも遥かに進んでるらしい。

こりゃあ帰ってまた勉強しないと。


「 ——で、ここにこの方程式を使ったら答えがこうなるってわけ。解るか? 」

授業中、ひそひそと話しながら一緒に勉強をするけど洸くんって意外にも頭がいいんだ。

失礼だけど、見た目とは想像つかないかも…。

本人には絶対言えないことだけど。

「 そっか、こうなるんだね。何となくは解ってたけど、やっと理解できた 」

その言葉とほぼ同時に終わりのチャイムが教室に鳴り響く。