「 はーい、皆!席に着いてね。今日は待ちに待った犬威さんが登校する日よ!」

五月に入って春の暖かさにも慣れて、もうすぐ夏が始まる。

そんな季節の中、私は一人遅い入学をした。

転校してきたわけでも、登校拒否をしてきたわけでもない。

今からこのクラスに入ったところできっと、クラス内でのグループは既に出来てるし私の入る余地なんてないだろう。

これから一年、下手すれば私は一人ぼっちの学園生活を送るハメになりそうだ。

そんな考えもよそに、教室の中から担任の天音( アマネ )先生の声がシンと静まり返る廊下に佇む私の耳に響いてくる。

ああもう——いっその事このまま逃げ出しちゃいたい。

「 ほら、犬威さん!入ってきて! 」

どうして天音先生はこんなに元気なんだろう。


—— ガラガラッ