内心びくびくしながらゆっくり足を進めれば白く薄いカーテンが踊るように風で揺れた。

その時に奥から見えたのは

こちらを向いているスーツ姿の男の人だった。

染めたことが無さそうな真っ黒で艶やかな黒髪に、きちんとセットしてるようで後ろ毛が少し跳ねて

スッと射抜くような鋭い目付きだけど血色の良い唇が僅かに弧を描いてる。

—— 綺麗に笑う人、だなあ。

かっこよくて綺麗な顔立ちの男の人に半ば見惚れてると、不意に口が開かれた。

「 湿布? ああ … こっちおいで。
手当してあげるから 」

さっき聞いた声と同じだ。
低くて冷たいのにどこか悲しげで優しい声色。

声だけでこんなに感じ取れるもんなんだな、

なんてのんきな事思ってる場合じゃないんだけど…。

「 あ、えと…ありがとう御座います… 」