「 んむっ… !
もうこんな時間だ!早くしなきゃ。

行ってきまーす、お父さん! 」

「 全く…慌ただしい娘だな。

気を付けて行ってらっしゃい。

帰りはお父さん遅くなるからご飯は温めて食べておくんだよ? 」

「 はあーい!
じゃあ、お父さんも気を付けて! 」

手を振りながら家を飛び出して通学路を走る。

ジリジリと熱い太陽が照ってきてる辺りもうすぐ暑くて気だるい夏がやってくると思い知らされる。

走ったところで間に合うことも無く、結局私は遅刻してしまった。

「 お、おはよう… 」

「おう、はよー結。寝坊したのか?なんてな 」

「 うぐ … 」

やっとの思いで自分のクラスにつけばちょうど一限目が終わった時刻だったみたい。

…私はとても寝過ごしてる。

何よりも、遅刻した理由を洸くんに一発で当てられてしまうなんて恥ずかしいこと極まりない。

そんな私の顔を見て洸くんは驚いたように目を見開いたけど次の瞬間には吐き出していた。

「ま、まさかっ…寝坊…っ! 」

「 もう! そんなに笑わないでよ!
目覚まし時計かけるの忘れただけだもん… 」

ムスッと頬を膨らませて洸くんを睨めば彼は「 ごめんごめん 」と両手を上げて観念するポーズを見せる。

本当に悪いと思ってるのやら…。

「ま!寝坊は俺にもあるし咎めたりしねぇけど、今日は抜き打ちテストあるって知ってたのか? 」

抜き打ちテスト…

ヌキウチテスト…

ぬきうちてすと…


「 ぬっ、抜き打ちテストぉお、!? 」


私の叫び声で教室中が静まり返ったのは言うまでもない。