「 お、お父さん!
どうして起こしてくれないの!?
遅刻しちゃう…っ 」
学校生活が始まって週数間経ってやっと学校にも慣れてきて友達も少しずつ増えていって、
登校初日より、私を珍しく見る人も少なくなって地獄のような質問をされる日々が落ち着いた蒸し暑い日。
目覚まし時計を掛け忘れた私は見事に寝坊してしまった。
…気が緩んだのかな。
「 おいおい、お父さんはちゃあんと結を起こしたぞ?
何度起こしても返事がなかったじゃないか。
ほら、急がずにゆっくりご飯は食べるんだよ 」
私はこんなにも焦っているのにお父さんはいつもの如くのんびり者だ。
お母さんが亡くなってから家事も炊事も頑張つてくれてる。
当番制にしてあるから、明日は私の番だし二人で助け合いながら毎日過ごしてきた。
「 も〜……あっ!おはようお母さん。
今日もお父さんが作ったご飯美味しいよ 」
テーブルの上に置かれた卵焼きを一口つまみながら着替えて真ん中にある写真立てに話しかける。
お母さんが私を抱いて笑ってる姿。
お父さんがその斜め後ろで照れたように笑って私達を見つめてる姿。
そんな写真が収まった一枚の写真立て。

