「……未来。」
誰かが私を呼んでる…。
暗い闇の中で揺蕩いながら未来はぼうっと考えた。
（誰…？）
私のことを探してるの…？
何のために…？
（もうそんなこともどうでもいいや…。）
そう思ってまた目をつむった時―。
（許さない。）
そういわれたような気がしてあたりを見回した。
でも誰もいないようだったのでもう一度目を閉じた。
（許さない、お前だけは絶対に許さない！）
やっぱり聞こえる、誰かの憎しみにとらわれた声が―。
その声をなぜだか昔よく聞いていた気がする。
「……誰……？」
そう小さくつぶやいたとき、目の前に映像が流れた。
（これ…は…？）
未来そっくりの女の子が人を殺している映像だった。
やめて、殺さないで。
そんな声が聞こえる中、女の子は一切の感情がない瞳で殺していた。
大人も、子供も、女も、赤子でさえも―。
そんな映像を見ていた時、頭の中でとてもよく似たことをやっていた時期があったなと冷静に思い出していた。
（……あぁ、そうか……。）
私はたくさんの人に恨まれることをしてきてたんだったと―。
この時になってようやくわかった。
そしてさっきから聞こえていた声はその時に死んでしまった人たちの憎しみなのだと―。
「……ごめんなさい……。」
呟くように出た謝罪の言葉。
そんな声が聞こえたところで彼らは止まれるわけがない。
怒り、憎しみの声がこれでもかというほど頭に流れてくる。
そのたびに未来は謝った。
許してもらえるとは思ってない。
でも何の説明のなく罪のない人たちまで殺していたことも事実。
（こんな私を恨ませて、あなたたちの大切な人たちを奪って、それを忘れていて）
「……ごめんなさい……。」
そうつぶやいたとき、また誰かが私を呼んだ。
「ー。未来―！」
その声がだれのものかようやくわかって未来は無意識のうちに読んだ。
「……慎…？」