未来は屋敷の前でため息をした。
そして深呼吸をひとつした。
「ここからしか行けないなんて不便だなー」
そう言いながら門を開け、歩いた。
途中屋敷内ですれ違いざまに声をかけられた。
「お嬢様、お帰りなさいませ。」
「………ただいま…。」
消え入りそうな小さな声で未来は言ってそのまま歩き続けた。
「はぁ……。やっと着いた。」
屋敷内を歩いて30分で神社へと続く扉の前まで着いた。
未来は扉を押して開け、歩いた。
そして神社に入り、声をかけた。
「未来です。楓さま、いらっしゃいますか?」
「あら?未来?」
「楓さま。お久しぶりですね。」
「ほんと久しぶりね。どうしたの?」
「お話を聞きたいことがあります。」
「そう…。とりあえず、こちらにいらっしゃい。」
「はい。」
そう言うと未来は楓の後ろを歩いた。
そして部屋まで案内され、ふたりは座り楓はお茶をだし、聞いた。
「…で、何を聞きたいの?」
「わたしは、いったい誰なんですか?」
「わたしの可愛い妹的な存在よ♪」
「いえ、そういうことじゃなくて…」
「じゃあ、わたしの可愛い娘的な存在よ♪」
「いや、だからそういうことじゃなくて…」
「『伝説の神子とはなにか?』を聞きに来たの?」
「………!」
「それともあなた自身が生まれてきた理由?」
「全てです。」
「えっ……?」
「楓さまが知っていること全て知りたいんです。」
未来は楓の目をみて言った。
「慎たちが何かを隠していることは知っていました。きっと私に隠さなければならないことも…」
「だったら…」
「でも、それでも知りたいんです。」
「例え、どんな犠牲が出ても?」
「…はい。」
「わかったわ。」
楓は静かに語りだした。
「あれは、15年前に起こった事件だった。」