「じゃあ、初恋とかもまだなんだね」


「うん、まあそうだね」


「好きな異性のタイプとかないの??」


「今はあんまり思いつかないかな」


「じゃあさ、ジュンコの好きな人見つけていこうよ!本田君はどう?サッカー部でイケメン女子人気すごいじゃん??」


「うーん、あんまりなんとも思わないかな」


「じゃあ、屋島君は?ジュンコと合いそうじゃん!」


「違うクラスの人でしょ?顔も思い出せないよ……」


私があまりに素っ気ない答えをするから、
みんなだんだん飽きて話題はいつのまにか完全に反れてしまった。


みんなの話題についていきながらも、

これくらいの高2の年齢なら恋をするのが当たり前なのか、
恋をしたことがないのは変なのか、
恋をするってそもそもどんな感情なのか、

そんなことばかりを考えていた。


修学旅行の夜はあっという間に更けていく。
でも、恋をしたことがない悩ましい私にとっては、
小樽の夜は長かった。