今日、初恋はじめます。

「大丈夫?」


前を向くと、さわやかな笑顔をふりまいたイケメンが手を差しのべていた。


急なできごとに、思わず、動揺してしまう。


制服を見る限り、同じ高校の生徒っぽい。


「は、はい、大丈夫です」


イケメンを目の前にして、
言葉がなかなか出てこないながらも、
なんとか答えた。


「ケガとかはしてない?」


「してないです」


「良かった。田中ジュンコちゃんだよね?
一緒に教室まで行こうか?」


なんで、この人、私の名前を知ってるんだろう。


すごく不思議というか、こわい。


そう思うとすごく不気味になった。


「けっこうです」


そう言い放って、まだズキズキと痛む足にムチを打って、学校へ急いだ。