「それだから駄目なんだよ、ジュンコは。ほんとに女の子? ほら、クラスを見渡してみなよ。かっこいいなと思う人とかいない?」


恋に興味がなかったら、女の子じゃないの?


私は言われた通り、クラスを見渡す。


「ほら、どう?」


「別に、なにも思わないかな」


「いくらなんでも、疎すぎでしょ……」


「じゃあ、アヤカはどうなの、恋愛とか。修学旅行の時に言ってた新田君とは進展してるの?」


不意にきいてみた。


「どうだろうね、うふふ」


アヤカはまんざらでもなさそうな笑みを浮かべる。


悪い方向に進んでないようでなによりだ。


みんな、恋してるんだなと実感する。


アヤカは高校1年の時から、仲が良かったけど、その頃と比べるとずいぶんとあか抜けた。


こうやって、まわりはみんな、恋して乙女になっていくのだろうか。


かすかな焦燥感が私を襲ってくる。