『・・・里沙』

髪をアップして薄いグレイのショールとピンクのワンピースを着た里沙の姿があった。
鏡でコンタクトのずれを直しているようで、哉未には気がついていない。

『宇田・・・余計な気つかいやがって』

どうやら哉未よりも里沙に先に気がついた宇田が気をつかったらしい。
少し離れてはいるが3年ぶりに見た彼女は前にも増して綺麗になった気がした。

『・・・』

それから哉未は足が固まったように、その場から動けなかった。

優しい風が吹く
里沙は鏡をバッグに戻し風を遮りながら顔を上げた。

『・・・』

そして二人の視線が重なった。
ドクドクと心拍数が上がっていくのを感じた哉未。

里沙は・・・一瞬驚いたように目を見開いた。
哉未は固まったまま里沙の視線をそらせなかった。

『久しぶり』

そう言って里沙は優しく笑った。