「熱はない?」
「解らない…」
「触った感じはちょっと熱いな…ほら、ちゃんと計ってみなよ。」
大輔は遥かの顔をのぞき込んだ。 遥は、大輔の顔が見れない。昨日携帯を盗み見してしまったと言う罪の意識と大輔とマユと言う女性のアヤシイ メールが頭から離れない。 頭が痛くなり、吐き気までして来た。
「…風邪かなぁ…」
「大丈夫…」
「…病院に連れていくよ。遅れて会社にいくよ。このままじゃ仕事行っても心配だから。熱もほら、37.8だって…」
「…私…」
遥は泣き出した。
「どうした?そんなにキツイのかい?」
「大輔が…優しいから…私…」
「ばか。何言ってるんだよ…俺は、お前の旦那なんだから、心配するのは、当たり前だろ」
「…本当に?」
「…え?」
「本当に心配?」
「当たり前だろ!」
「…私の…こと嫌いになってない…のね?」
「…何言ってるんだよ」「病院は大丈夫…私は会社休むから…大輔は会社に行って。お薬飲んで少し休んでたらきっと大丈夫。」
「でも、」
「…なるべく早く帰って来て欲しいの」
「…解った…昼休みに電話するよ。…もし、具合がもっと悪くなる様なら俺に電話しろよ。…ごめんな…休んでやりたいんだけど会議入ってるから…終わったらすぐに帰って来るから」
「うん」
「…行って来ます」

遥は、大輔が今日は マユと言う人の所には行かないだろうと思った。身体が鉛の様に重くベッドに横になった。

昼休みに大輔からの電話があった

「大丈夫か?」
「熱は下がった…」
「…会議はまだ終わらないんだ…新しい取引先とのプロジェクト会議だから…中々進まなくて」
「…大丈夫…寝てたら少し楽になって来た」
「…遥…俺…」
「…何?」
「あ、いゃ…なるべく早く帰るよ」

大輔は何か言いかけたが止めた様に感じた。