「私は大輔がそうなりたいと思うならそれでいいわ。」
「あんまり俺に期待してないって事?」
「そんな事言ってないわ。大輔の好きなように仕事してて欲しいだけ」
「どうも」
何だか大輔が不機嫌そうになる…遥は食器を片付けながら話を変えようと思った…

大輔の携帯が鳴りだした。
「…出ないの?」
「出るよ」
大輔は携帯電話にでた。 「はい、…あ、どうも…そうですか…はい」
電話しながら大輔はベランダに出て行ってしまった…遥は言い知れぬ不安を感じていた …わざと敬語だがマユってひとからなんだと感じていた。
 電話を終えて、大輔がリビングに戻ってきた。
「…大輔、…」
「…どうしたの?」
遥は何も言わずに大輔に抱き着いた。
大輔は、遥の頭を優しく撫でた。
「…大輔…愛してるわ」 「甘えんぼだなぁ…遥は…」
以前と変わらない優しい目。やっぱり自分の思い過ごしなのかも知れない。大輔が遥にキスをしてきた。遥は大輔のキスに応えながらそう思う事にした。

二人は、ベッドの上でじゃれ着いていた。
…遥は、本当はそんな気分ではなかったがでも、触れ合っていると不安は少しは消える気がした。
「…遥?」
「え?」
「止めようか…?」
「…どうして?」
「遥…したくないみたいだから…無理しなくていいよ。…俺も疲れてるし…明日も忙しいし…もう、休むよ」
「…愛せない?」
「…え?」
「私じゃ…つまらなくなった?」
「何言ってんだよ。遥がつまらなさそうにしてたんだろ」
「…明日も忙しいって…」
「…ああ、遅くなるよ…だからもう寝る。」
不機嫌になった大輔が背中を向けた。
「…遅くなるって…大輔は、明日の事を考えながら…私を抱こうとしてたの?」
「意味解らないよ。」
「…ひどいわ」
「…何?面倒クサいなぁ?」
「…私は大輔にとって面倒クサいんだ?」
「人の言葉尻とって面倒な事いうなよ。悪かったよ。面倒クサいは、言い過ぎた…謝るよ。」
「…」
 遥は黙っていた。