やはり 有森は見てしまっていた。
「…元カレよ。もうとっくに別れたのに。」
「…イケメンだね」
「もう終わった人よ。」遥は訴えるように有森にいった。
「…鍵取りに来ただけだし。もう帰るよ。」
「有森君ってさ、本当に私の事好きなの?」
「好きだよ」
「簡単にそう言うこと言わないでよ」
「簡単に言ってなんかないよ」
「じゃあ、本気で私が好きで言ってるのなら気にならないわけ?」
「…なるさ!凄くね」
「じゃあ何でもっと聞かないのよ」
「僕に、そんなこと聞く権利…あるのかよ。…弟にしか見えないって言われた男に。」
遥は、有森が怒った顔を初めてみた。
「…悪いのは私ね。…弟だなんて…今は思ってない。今日、二人で居て私、やっと自分の気持ち解った。…好きなの…有森君が好きなの。」
「…遥さん」
有森は遥を抱きしめた。やっぱり有森の腕の中は心地いい。さっき迄の動揺や不安は掻き消えていた。
二人は、小さなソファーの上で何度も何度もKissをした。何度も何度も抱き合った。